第6回 日本緩和医療薬学会年会②
①がん診療におけるせん妄
がん診療において起こりうる精神疾患として抑うつ、不眠、せん妄などあり、中でも「せん妄」は少なくない疾患で、患者や家族・医療者にとって悪い影響をおよぼすことが知られています。
多くの医療者が知っておくべき精神疾患でもあるが、一方で見過ごされることも指摘されています。
「せん妄」は様々な因子が関与しており、単一で起こることもあるが、多くの場合複数因子が関与していることが知られています。
がん診療において起こりうる精神疾患として抑うつ、不眠、せん妄などあり、中でも「せん妄」は少なくない疾患で、患者や家族・医療者にとって悪い影響をおよぼすことが知られています。
このシンポジウムでは、「せん妄」を疑う症状の鑑別方法、起こしうる薬剤、せん妄を治療する薬剤について情報提供がありました。
②がん薬物療法において妥当な向精神薬の選択
向精神薬は、がん患者の不眠、不安、抑うつ、せん妄などの精神症状の緩和のみならず、化学療法・放射線療法・オピオイドによる制吐剤や神経障害性疼痛に対する鎮痛補助剤として多用されます。
しかし、オピオイド開始時に処方されるドパミンD2遮断薬を漫然と長期投与することによる錐体外路症状、BZ系薬剤の多用によるせん妄など薬剤起因性の苦痛症状を強いられている患者が存在することも現状。
よって、薬剤師は、積極的治療期から緩和医療まで広く使用される向精神薬について、薬理作用はもちろん副作用・相互作用などを熟知の上、適正使用に努める必要があります。
日々緩和医療の研究や実践が進化し続ける昨今、緩和医療に特化した学会に参加することによって、薬剤師の活躍が期待され、また実際活躍されている薬剤師の数の多さに驚き、とても刺激になります。
③非麻薬性のオピオイド系鎮痛薬の基礎と臨床
非麻薬性のオピオイド系鎮痛薬は、古くから疼痛緩和に頻用されており、最近ではトラマドール製剤やトラマドールとアセトアミノフェンの合剤などの販売が開始されています。
ブプレノルフィンは多彩な剤形があり、状態に合わせて適切な薬剤が選択されています。
これら非麻薬性オピオイド系鎮痛薬は作用が弱いが、呼吸抑制や依存性の形成などの有害な副反応も弱い。そのため、手術後や抜歯後の疼痛を抑えるためなど、非がん性疼痛の緩和にも用いられています。
また、坐剤や貼付剤など、同一成分の薬物にも多彩な剤形があるため、用いる剤形を工夫することで鎮痛作用を効果的に発現させることも可能です。
的確にこれらの薬剤を選択することで、安全に疼痛緩和をもたらすことができます。
薬剤選択の際に、的確な情報提供を医師に行うことが在宅医療を行うにあたり重要。
在宅で疼痛緩和を行うにあたり、医療チーム間での連携は必須であり、その中で薬剤師の果たすべき内容は多岐に渡ると感じました。
また、薬剤師といったしばりにとらわれず他職種のニーズを的確に拾い上げ、それに応えていくことが重要であり、その中で薬剤師としての職能発揮の場を見つけ出していく必要があると思います。