「ここまで変わった関節リウマチ!~地域連携を視野に入れた最新の検査・治療について~」 研修報告
平成27年2月24日(火)、玉島医師会館で実施された表題の研修会へ参加いたしました。
玉島医師会主催の研修会でしたが、
玉島薬剤師会の会員も希望すれば10人程度は聴講可能でした。
【聴講内容】
≪製品紹介:オレンシア注≫小野薬品工業株式会社 担当者さまより
・抗原提示細胞とT細胞間の共刺激シグナルを阻害することで、
T細胞の活性化を抑制する。
・剤型は点滴静注と皮下注の2種類。
→患者さまのライフスタイルに合わせて選択が可能。
≪関節リウマチとは≫倉敷中央病院 内分泌代謝・リウマチ内科医長 三崎健太先生より
・膠原病の一種
・日本には60~70万人の患者がいると推定
・女性に多く(性差は女性3~4:男性1)、好発年齢は30~60歳
・発症の主な原因は 感染、手術、出産、紫外線暴露など
⇒近年の研究で、喫煙が発症のリスクファクターであることが判明
喫煙歴の有無も、診察を行う上で重要な情報
・全身合併症を起こす可能性がある
⇒とくに、間質性肺炎などの肺合併症、心筋梗塞などの心合併症は
命に関わることもある
・死因の第一位は心血管イベントの発症
(CRPの高値が続くことで動脈硬化が進行するため)
(CRP高値がつづく=高血圧と同程度の心血管イベントのリスクファクター)
・慢性的疾患で徐々に進行していくと思われがちだが、
発症後2年以内に一気に悪化する
(早期関節リウマチは発症後6ヶ月以内:早期での発見・治療が
患者の予後を左右する)
・診断材料は
1)リウマチ因子:患者の80~90%で陽性
(肝臓病でも陽性がでるので注意)
2)抗CCP抗体:患者の96~98%で陽性。
(陽性の場合、現時点で発症していない患者でも、
10年以内に80%以上の確率で発症する)
3)画像診断:早期発見には「関節エコー」が有用
(レントゲンでは早期関節リウマチを見逃す可能性が高い)
(倉敷中央病院では四肢専用MRIを設置)
・治療は「寛解」を目指す:現時点では「完治」は難しい
1)臨床的寛解:痛み・腫れなどの症状が良くなる、CRP値が下がる など
2)画像的寛解:エコーでの初見が改善する
⇒画像的寛解が認められることが重要
臨床的寛解で治療を終了してはいけない
・薬剤選択について
1)MTXで効果がない場合には、
早い段階で生物学的製剤を使用し、早期から最強の治療を行うべき
2)オレンシア注は、他の生物学的製剤と比較しても高齢者に安心して使用できる
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関節リウマチについての
「基本的な知識」から「最新の治療」まで非常にわかりやすい研修でした。
世界の約1%が関節リウマチ患者という現在、
もしかしたら、明日、関節リウマチの処方箋を受け付ける事があるかもしれない、
そのときに、何をどのように情報提供したらいいのか、
あわてることがないように準備ができるようにしておかないといけないと
痛感いたしました。