薬剤師に期待される【小児アレルギーエデュケーター】疾患対策の推進とは?

機運が高まるアレルギー疾患対策の推進。薬剤師に期待される役割とは?【小児アレルギーエデュケーター】に注目

【1】
国民の半分がアレルギー疾患を抱える日本。
疾患対策のための法令も

国民の半分がアレルギー疾患を抱える日本。 疾患対策のための法令も

アレルギー疾患は、症状の悪化や軽快を繰り返し、時には休園や休学、休職等を余儀なくされ、生活の質を著しく損なうことがあります。また、アナフィラキシーショックなど、命に関わる症状が現れることもあります。

このような深刻な疾患でありながら、その患者数は年々増加しており、現在は乳幼児から高齢者まで国民の約2人に1人が、何らかのアレルギー疾患を有していると言われています。
厚生労働省 厚生科学審議会 疾病対策部会 リウマチ・アレルギー対策委員会. リウマチ・アレルギー対策委員会 報告書.

医療の進歩に伴い、アレルギー疾患に対して、科学的知見に基づいた医療の提供ができるようになってきているものの、全ての患者がその恩恵を受けているわけではないという現状から、等しく適切な診療の普及が求められています。

アレルギー疾患対策の必要性を法的にサポートしていく動きもあり、2015年には、「アレルギー疾患対策基本法」が施行され、基本理念として、以下が掲げられています。

  1. アレルギー疾患の重症化の予防及び症状を軽減に資するために、アレルギー疾患対策を総合的に実施して生活環境の改善を図ること
  2. 居住する地域にかかわらず等しく科学的知見に基づいた適切なアレルギー疾患医療を受けることができるようにすること
  3. アレルギー疾患に関して適切な情報を入手することができるとともに生活の質の維持向上のための支援を受けることができる体制の整備がなされること
  4. 研究を推進して、アレルギー疾患の重症化の予防や診断、治療等に活用、発展させること
  5. 引用:アレルギー疾患対策基本法.

さらに、この法律の中の規定に基づき、2017年には、アレルギー疾患対策の推進に関する指針として、「アレルギー疾患対策基本指針」として策定されるなど、国を挙げて、取り組みを進める機運が高まっているのです。

そこで、今回は、この動きの中で薬剤師に期待される役割や、注目すべき関連資格の「小児アレルギーエデュケーター」について解説します。
薬剤師として新たな活躍のフィールドを検討している方や、スキルアップを目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。

【2】
アレルギー疾患対策が推進される中で、
薬剤師に期待される役割

アレルギー疾患対策が推進される中で、薬剤師に期待される役割

では、アレルギー疾患対策の推進が強化されるこの動きの中で、薬剤師には、どのような役割が求められているのでしょう。

「アレルギー疾患対策基本指針」に基づき、厚生労働省での検討会において取り纏められられた「都道府県におけるアレルギー疾患医療提供体制に関するガイドライン」によると、薬剤師・薬局の役割は、以下のように掲げられています。

アレルギー疾患において、薬剤師・薬局は医師の処方に基づき、患者に対して有効で安全な医薬品による治療を提供することが重要である。そのため、薬剤師・薬局は、医療機関と連携をとりながら、最新の科学的知見に基づいた適切な情報提供及び指導を行う必要がある。 また、薬学的専門性の観点から、服薬情報や副作用(特にアレルギー歴)等の情報について、処方を行った医師へのフィードバックを行うこと等も求められる。

引用:都道府県におけるアレルギー疾患医療提供体制に関するガイドライン.

つまり、「医療機関と連携した情報提供や服薬指導」と「服薬状況や副作用等に関する処方医へのフィードバック」の2点ということになります。

上記は、すべての処方に共通する薬剤師の役割とも言えますが、アレルギー疾患の治療の場合、例えば、緊急性が高いアナフィラキシーショック時に使用するエピペン注射や内服剤などが処方された場合は、適切なタイミングや使用方法などについて、特に念入りに指導する必要があるでしょう。

また、アレルギー疾患は、治療や管理が長期にわたるだけでなく、日常生活に密接に関わるため、患者自身が、薬や治療方針の意味・意義を理解して、前向きにセルフケアを継続していけるように指導することが大切です。
副作用をモニタリングするために、体調の変化を見落とさぬよう、患者と信頼関係を築くのも、薬剤師の役割となるでしょう。

【3】
関連資格の「小児アレルギーエデュケーター」に注目

関連資格の「小児アレルギーエデュケーター」に注目

前述のように、アレルギー疾患対策において薬剤師が活躍するには、アレルギーに関する特有の知識を始め、食生活や生活改善に関する幅広い知識が必要となります。

冒頭で紹介した「アレルギー疾患対策基本法」にも、「アレルギー疾患医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の育成を図るために必要な施策を講ずる」と明記されており、今、薬剤師においても、アレルギーに関する専門的な知識をもつ人材が求められているのです。

そこで、アレルギー疾患の治療に積極的に参加したい薬剤師におすすめなのが、「小児アレルギーエデュケーター」という資格の取得です。

「小児アレルギーエデュケーター」とは?

「小児アレルギーエデュケーター」とは、日本小児臨床アレルギー学会の認定資格で、アレルギー疾患を有する小児の適切な治療やケアが実践されるように、その患者教育を担う人材を育成する目的で立ち上げられたものです。当初は看護師のみが対象でしたが、2013年からは薬剤師、管理栄養士も対象に加えられました。

小児アレルギーエデュケーターの資格を取得することで、アレルギーに関する専門技術と指導技術を持ち、小児のアレルギー疾患患者や、その家族への啓発指導などを行うことができるようになります。

このようなニーズは多いものの、応えられる人材は不足しており、特に薬剤師の小児アレルギーエデュケーターの資格取得者はまだ少ないと見られます。

また、2021年春現在、このほかにアレルギー疾患を専門に扱う薬剤師の認定制度もないため、アレルギーに関する専門的な知識を習得し、そのスキルを示すには、ぜひ取得しておきたい資格です。

イベントや保育・学校関係での啓発指導など、活躍の場も広げられる

小児アレルギーエデュケーターの主な仕事は、アレルギーを持っている子どもやその家族の相談に乗り、適切なアドバイスや指導、教育を行うことですが、活躍の場は、病院や薬局だけではありません。

地域から講演や研修の依頼もあり、保育園・学校、イベントなどに出向いて教育を行うこともあります。

例えば、学校の教員に、食物アレルギーの概要や症状、エピペンの使い方などをロールプレイ形式で教えたり、各地の子育て支援センターなどに出向いて、アレルギーの子供を持つ保護者を対象に、食事の注意点、適切なステロイドの使い方、ときにはスキンケアの方法まで教えたりといった機会も少なくありません。

地域に根ざしたアレルギー疾患対策を進める上でも、薬局薬剤師が小児アレルギーエデュケーターの資格を取得する意義は大きいと言えるでしょう。

小児アレルギーエデュケーターになるには?
薬剤師だからこそ挑戦できる資格

小児アレルギーエデュケーターの資格を取得するには、以下のような受験資格を満たし、複数の講習と試験(症例報告を含む)をクリアしなければなりません。

*大まかにまとめたものです。それぞれに細かな条件があるので、受験を検討する場合は、必ず公式ホームページを確認してください。

受験資格

  • 看護師、薬剤師、管理栄養士のいずれかの資格を持っていること。
  • 臨床経験があること。
  • 小児科のアレルギー専門医による被指導歴があること。
    (もしくは、本学会による研修により研修要項に定める必須単位数を取得すること)
  • 基礎講習会を受講していること。
  • 学術集会に参加していること。
  • 会員歴

取得までの流れ

  • 1) 日本小児臨床アレルギー学会に入会する。
  • 2)「小児アレルギー疾患基礎講習会」に申し込み、受講する。
  • 3)「認定小児アレルギーエデュケーター講習会受講資格試験」を受験する。
  • 4)「認定小児アレルギーエデュケーター講習会」に申し込み、受講する。
  • 5) 症例報告による「認定小児アレルギーエデュケーター試験」を受ける。
  • 6) 認定小児アレルギーエデュケーターの認定証が交付される。

上記のように大まかにまとめたものを見ただけでも、小児アレルギーエデュケーターの資格取得は簡単ではないことが感じられるでしょう。
しかし、あなたが薬剤師であれば、受験資格のうち、最初の狭き門をすでに突破しているのです。そして、合否に関わらず、試験に向けて学ぶことは、薬剤師にとって必ずプラスとなります。興味があるのなら、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

【4】
資格取得後の転職。認定更新も視野に、
資格を維持できる職場へ

資格取得後の転職。認定更新も視野に、資格を維持できる職場へ

医師が立ち上げた制度ということもあり、専門医からの認知度が高く、実務につながりやすいことも、小児アレルギーエデュケーターの特徴です。特に、薬剤師の小児アレルギーエデュケーターは貴重な人材です。
資格取得後は、その知識や技能がより必要とされている場で働きたいものです。
また、小児アレルギーエデュケーターは、5年ごとに認定の更新があるため、資格の維持ができる条件の揃った職場に転職するのもおすすめです。

以下では、転職活動のコツを紹介します。

薬剤師の転職サイトで求人検索。「かかりつけ薬剤師」もおすすめ

アレルギーエデュケーターの資格は小児科就職へ有利に働きます。実際には、アレルギー専門病院や総合病院の小児科、調剤薬局などで働く方が多いようです。

転職サイトで求人を探す場合は、薬剤師の転職に特化されたサイトで、かつフリーワード検索が可能なものを利用し、「小児科」「アレルギー」をキーワードに検索してみるとよいでしょう。小児科をはじめ、アレルギー専門の病院や、アレルギー専門処方の需要が高い薬局などが見つけられます。

また、「かかりつけ薬剤師」をキーワードにして求人を探すのもおすすめです。かかりつけ薬剤師も、アレルギー疾患をもつ患者に対して、禁忌薬への対応はもちろん、患者が抱える診断・治療への不安の相談に乗るなど、小児アレルギーエデュケーターの能力を活かせる役割です。

資格も希望条件も大事にしたいなら、
転職エージェントの手を借りるのがベスト

より効率的な転職活動、転職の成功率を重視するなら、転職エージェントの活用がおすすめです。

現在の職場で働きながら、自身で求人検索や転職活動を行おうとすると、両立が難しく、時間も労力も相当なものとなります。求人情報を見逃してしまうこともあるでしょう。転職支エージェントを利用すれば、求人探しから、現場の情報収集、条件の交渉などまで代行してもらえます。

また、例えば「資格も活かしつつ、小児科に限らず幅を広げた分野で検討したい」といった、キーワードで括れない希望がある場合は、インターネットでの検索は難しくなります。

そのような場合も、薬剤師に特化した転職エージェントを利用し、希望をコンサルタントに伝えれば、自身では見つけられないような求人や、一般に非公開となっている求人から、希望に合うものを提案してもらえるでしょう。

努力して取得した資格を無駄にしないためにも、プロの手を借りた転職活動が賢い選択です。

薬剤師転職エージェントについては、以前このサイトでも、全国69社の分析をしています。以下の記事を参考にしてみてください。
図解とデータでランキング!【薬剤師転職サイト】69社超おすすめ大全 | キャリアクエッション-転職、求人、質問と回答は caq.jp

図解とデータでランキング!【薬剤師転職サイト】69社超おすすめ大全

【5】
まとめ

まとめ

今回は、アレルギー疾患対策が推進されている日本の動き、そして「小児アレルギーエデュケーター」について解説しました。

全ての患者に適切な治療を行き渡らせるには、患者やその家族への指導、教育が必要ですが、専門医が来院した患者のみに行う、短い時間での診療・指導だけでは、実現は難しいことです。受診に訪れない患者に至っては、医師と接点を持つことすらありません。

そのような中、着目すべきは、医師以上に、社会と広く接点がある薬剤師という存在でしょう。
薬局やドラッグストアなど、病院や医療現場以外の社会全体に幅広く接点を持つ薬剤師に、専門的な知識や技能を持つ人材が増えれば、アレルギーについての正しい知識は、より広く、より躍進的に普及していくはずです。

興味を持った方はぜひ、アレルギー疾患対策の人材が必要とされている場への転職や、小児アレルギーエデュケーターの資格取得に向けて踏み出してみてはいかがでしょう。

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