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【1】
注目が高まる
「病院敷地内薬局」への転職
近年、病院敷地内薬局の開設が進み、業界でも注目が高まっています。
病院敷地内薬局の薬剤師求人も見かけるようになりました。患者さんや地域にとって利便性の高い施設形態であることは明白ですが、薬剤師の職場としては、メリットやデメリットがあるのでしょうか。
今回は、薬剤師の転職という観点で、病院敷地内薬局について整理していきます。
【2】
病院敷地内薬局とは
まずは、病院敷地内薬局とは何かということから確認していきしょう。
押さえておきたいポイントは、関連する規制と、施設形態による特徴です。
開設が進む背景
敷地内薬局は、2016年の規制緩和により可能となった、新しい施設形態です。
もともと、厚生労働省は、薬局と医療機関が隣接する場合には間をフェンスや塀で仕切るよう指導していました。しかし、病院と薬局が同じ敷地内にあるにもかかわらず、一度公道に出る必要があるため、特に高齢者や車椅子を利用する患者さんにとっては、不便が大きい状況でした。
このような人たちの利便性を確保するために、2016年10月1日から規制が緩和され、両者を隔てるフェンスや塀が不要になったというのが、病院敷地内薬局の開設が可能になった背景です。特に近年、大病院・大手薬局を中心に開設が進んでいる、注目度の高い施設形態なのです。
患者さんに最大限貢献できる形態
病院敷地内薬局の最大の特徴は、患者さんにとっての利便性です。
病院という場所は、身体の不自由や、体調不良を抱える人など、移動が負担になるような患者さんが多く訪れます。そのような患者さんにとって、病院から最短距離で薬局に移動できることは大きな利点です。
また、病院敷地内薬局は、調剤基本料が「特別調剤基本料」に分類され、料金が安く済むため、経済的な面でも患者さんが利用しやすいという特徴があります。
【3】病院敷地内薬局で働くメリット
患者さんにとっては、「病院から近くて安い」と非常に嬉しい特徴のある病院敷地内薬局ですが、そこで働く薬剤師にとっては、どのようなメリットがあるのでしょうか。
薬剤師のキャリアとしての病院敷地内薬局のメリットを整理していきます。
処方箋数が多く、安定した経営
メリットとして真っ先に挙げられるのは、処方箋応需枚数が多いことです。
門前薬局よりも病院に近い敷地内薬局ともなれば、病院から発行される処方箋のほとんどを独占することになるでしょう。
調剤基本料が低いとはいえ、立地勝負の薬局事業です。圧倒的に売上が大きいことは言うまでもありません。
これ以上に病院に近い薬局ができる心配もなく、安定と安心を備えた職場と言えるでしょう。
病院との連携で、服薬指導・働きやすさ◎
病院敷地内薬局は、病院と連携しやすいというメリットもあります。
同じ敷地内ということで、医師や看護師などの病院スタッフとも連携を取りやすく、病院と薬局で情報共有の仕組みが整えられている職場もあります。一般の薬局では、情報源は処方箋のみですが、病院からの情報共有があれば、病院でどのような治療を受けてきたのかわかり、気を付けるべき副作用等の判断もしやすくなります。
医師の治療方針がわかっていれば、より効果の出やすい服薬指導に繋がります。
職場によって程度は異なりますが、薬剤師から医師への提案もしやすい環境であれば、やりがいはいっそう大きくなるでしょう。
また、お互いに顔が見える存在となることで、混雑時やトラブルの際にもフォローしあえる関係性が構築されるなど、人間関係の面でも、働きやすい雰囲気が生まれやすいようです。
スキルアップしたい薬剤師向き
そして、病院との距離が近いことは、薬剤師のスキルアップにも繋がります。
施設内に薬局を設けられるほどの大きな病院では、さまざまな診療科を扱います。そのため、臓器移植や抗がん剤など、高度薬学管理が必要な患者さんも、薬局に訪れることがあるでしょう。幅広く難易度の高い処方も扱うことになり、薬剤師としての大きな経験値になります。
職場によっては、病院との人材交流、研修会などをセッティングしているケースもあり、働きながら勉強ができる環境があります。
高度医療からかかりつけまで幅広い可能性
病院敷地内薬局は、病院との連携に特化したイメージがありますが、かかりつけ薬局として機能できる可能性も十分に持っています。
大きな病院には、特定薬剤を服用している人、薬を数多く服用している人、合併症を患っている人など、薬歴を慎重に管理する必要のある患者さんが入院・通院するケースが多くあります。そういった患者さんが、自宅や介護施設に戻った際、地元の薬局と情報共有する必要があるため、自然とかかりつけ薬局のような役割を担うことにもなります。
病院敷地内薬局は、高度医療だけでなく、地域包括ケアシステムの中でも、中心的な存在と言えるでしょう。
【4】
病院敷地内薬局で
働く前に知っておきたいこと
患者さんにとっても、薬剤師にとってもメリットの多い病院敷地内薬局。ただし、転職を考えるなら、この施設形態を取り巻く事情を必ず知っておきましょう。実は、業界内では、病院敷地内薬局を問題視する声もあるのです。
業界内では賛否両論
病院敷地内薬局の開設が進む背景として、規制の緩和について少し触れましたが、そもそも、厚労省が薬局と医療機関の間にフェンスや塀の設置を求めていたのはなぜでしょう。
それは、「医薬分業」を促進するためです。
薬物治療の安全性を確保するためには、医師と薬剤師が癒着することなく、医師の処方を外部の薬剤師がチェックするという形が理想的です。もし、両者が癒着するようなことがあれば、薬剤師が医師の処方に口を出しにくくなりかねず、適切な医療が提供されない危険性があります。
しかし、2016年に規制が緩和されたことで、病院とその施設内薬局が実質的に一体的な経営に近づき、医薬分業や、日本が注力している かかりつけ薬局の推進にも逆行するものだという声もあがっているのです。
病院と適切な関係性を
このように、病院敷地内薬局を問題視する声もありますが、実際に医薬分業の効果が失われるのか、かかりつけ薬局の推進を阻むものになるのかどうかは、実際にそこで働く薬剤師の意識次第とも言えます。
患者さんの立場で考えれば、病院敷地内薬局は必要性が高いものです。医薬分業は大切ですが、病院と薬局をフェンスで分断するなどの杓子定規な対策は、本質を見失っているようにも思われます。
薬局がどのような立地であれ、薬剤師が病院と適切な関係性を保ち、安全な医療を心がけ続けていれば、病院敷地内薬局に対する理解も広がっていくのではないでしょうか。
【5】病院敷地内薬局への転職活動のポイント
それでは、以上の特徴やメリット、事情などを踏まえ、病院敷地内薬局で働きたい場合の転職活動のポイントを紹介しましょう。
求人サイトで求人を探すなら
まずは求人サイトで情報収集する人が多いでしょう。
求人サイトで求人を探す場合、ポイントは2つです。
- 医療業界または薬剤師に特化した求人サイトを利用する
- 地域などの絞り込み機能に加え、フリーワードでの求人検索ができるサービスを利用する。
転職サイトは様々なものが存在しますが、良質な求人を見つけるには、薬剤師に特化した転職サイトを利用すべきです。
そして、フリーワード検索で「敷地内」を検索してみましょう。
「敷地内」と記載している求人票が多いので、「病院敷地内薬局」とフルで記載しないのがコツです。
例) 薬剤師に特化した求人サイトで「敷地内」のワードで検索
*上図で利用しているサイトはファルマスタッフ。
2022年6月3日現在で、全国件数23件。
中には「スーパーマーケットの敷地内」というように、病院敷地内ではない薬局がヒットする場合もあるので注意しましょう。処方箋数は多い可能性が高いですが、病院との連携などは持たない薬局となります。
健全な職場を見つけるためには?
病院敷地内薬局への転職を成功させるには、職場の実情をしっかり調べることです。
この記事で紹介したように、病院敷地内薬局は、新たな薬局の形態です。まだまだ手探りのところも多く、職場によっては、思っていたメリットが得られない環境もあるでしょう。求人票の内容だけで判断せず、念入りな情報収集が必要です。
おすすめは、薬剤師の転職に特化した転職エージェントを利用することです。
業界の内部事情に精通し、希望条件に応じた転職先候補を複数ピックアップしてくれるうえ、企業に直接確認・相談しにくいことも、コンサルタントが代行して確認や交渉をしてくれます。
医薬分業の観点で懸念している方は、コンサルタントを通じて確認しながら転職活動を進めると安心でしょう。
薬剤師転職エージェントについては、以前このサイトでも、全国69社の分析をしています。以下の記事を参考にしてみてください。
図解とデータでランキング!【薬剤師転職サイト】69社超おすすめ大全 | キャリアクエッション-転職、求人、質問と回答は caq.jp
https://sanyo3417.jp/pharmacist-ranking/
【6】まとめ
今回は、病院敷地内薬局について紹介しました。
薬剤師のキャリアとして考えたとき、勉強の機会に恵まれている病院敷地内薬局のやりがいは、別格だと言えます。
医薬分業の観点では、まだ議論の残る施設形態ではあるものの、患者さんファーストで適切な医療を提供するモチベーションのある人であれば、あまり心配することはないでしょう。転職エージェントを利用するなどで対策すれば、懸念点をクリアできる職場を見つけることができます。
興味を持った方はぜひ、敷地内薬局で知識や経験を深め、今後のキャリアに繋げてください。
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